[2013 口頭発表 要旨]

牧野 太朗 MAKINO, Tarou

おむすび畑
1978年生まれ、名古屋市出身。東京の大学を卒業後、横浜市内の私立高校で地歴・公民科の非常勤講師として勤務。2007年、高知県へ移住。2008年、宿毛市橋上町で、妻と共に有機栽培農園「おむすび畑」の経営を始める。現在、関東、関西の都市を中心に、100軒ほどの個人宅と、飲食店に季節の野菜を届ける、有機専業農家。 

[ 発表要旨 ]

スローでない田舎暮らし おむすび畑の5年

 この5年間厳しい自然と毎日向き合い、何とか農業を続けてきた。炎天下の中で汗だくになりながら草刈りをし、雪の降る日も雨の日も、雷が鳴ろうと台風に襲われようと農作業を続けてきた。
 「自然の中で畑作り、ハンモックで昼寝、夜は五右衛門風呂・・・」そんなイメージの田舎暮らしができるのは、時間もお金も健康な身体もある、一部の人達だけだ。地に足をつけ「たしかに生きる」ことは、都会と田舎を問わず難しい。ネットや携帯によるバーチャルな世界の異常な進化は、さらなる虚構を呼び、私たちを生き辛くしているように思えてならない。見栄や先入観に取りつかれた流行に流され、「人間の力で何とでもなる」と信じるのは愚かである。人が生きていくために必要なものは、そう多くはないはずだ。種を蒔き、収穫をしてきた営みは今も昔も、そしてこれからも変わらないだろう。本当に必要なものは何か、一度立ち止まって考えるべきではないか思う。