[2013 ポスター発表 要旨]
黒潮町のテナガエビは,今
中平恭祐・小畠亜美(四万十高校)
 黒潮町出身の教員から「最近テナガエビが捕れなくなった」と聞いたので、2013年1月に黒潮町の4河川でテナガエビ類の捕獲を試みた。
 調査の結果、湊川と伊与木川でテナガエビを捕獲できたが、蛎瀬川と有井川では捕獲できなかった。川によって堰の形や位置、川の高さが異なっていたため、テナガエビ類は海水が流入しやすく生物が遡上しやすい川に生息しているのではと考えた。また、四万十高校の近くを流れる四万十川には海水がどのくらい流入しているかを調べるため、河口付近の9地点で塩分濃度を測定したところ、河口から8km地点の不破神社前まで塩分が検出された。河口から10km上流の具同の水位が潮汐によって上下していることから、川の最深部で測定すれば、さらに上流でも塩分を検出できるのではと考えられる。黒潮町の人たちにとってテナガエビは親しみある生物だと思うので、これからもエビがやって来る川を維持してほしい。


重要文化的景観からみたテナガエビ−黒尊川流域における出現状況
山下慎吾(魚山研)・川村慎也(四万十市教委)・田辺義武(黒尊むら) 
 2009年2月,文化庁により四万十川流域(5市町村を含む)が重要文化的景観として選定された.文化的景観とは「地域における人々の生活または生業および当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活または生業の理解のため欠くことのできないもの(文化財保護法第二条第一項第五号)」と規定されているものである.本研究の対象地である黒尊川は,流路延長約34km,四万十川の河口から約32km地点に合流する河川であり,四万十川流域のなかで最も透明度が高いとされている。この流域の景観保全活用を検討するなかで,身近な川でテナガエビなどを採って食べることができる環境や,質の高い学びの場となりうる価値が抽出されたが,現状ではテナガエビ類2種の生態的基礎情報が不足している状態である。
 そこで,黒尊川流域において,テナガエビ類2種に関する基礎情報の収集と,学びの場としての可能性を探ることを目的として調査を開始することとした.調査は,2012年5月から12月まで月1回,黒尊川の3地点において小型定置網を用いた定量調査を行った.
 調査の結果,3地点間でヒラテテナガエビとミナミテナガエビの出現状況がまったく異なること,個体数や性比などに明瞭な季節変化がみられることなどがわかってきた.また,テナガエビ類の種類やサイズによって料理の使い分けがされていること,あるタイミングで大量に出現する個体群がナガセエビという名でよばれていることなども知ることができた.本発表では,テナガエビ2種の出現結果にあわせて,一緒にフィールド調査にはいることで生じる楽しさについてもお伝えしたい. 


ヤドカリの魅力 〜柏島の海から〜
西村直樹(PolePoleDive)
 日ごろ柏島の海でスキューバダイビングしながら観察を続けているヤドカリ、現在柏島海域で確認されたヤドカリの種類は80種におよびます。他の生物である貝殻をマイホームとし、その特徴的な体の仕組みや、自分の身を守るために行っている他の生物との共生、メスの考え抜かれた強い子孫を残すための戦略的な繁殖行動になど、すぐに殻に閉じこもるシャイなヤドカリたちに魅力を感じて追いかけ続けている、ヤドカリの紹介させていただきました。 


四国西南海域のヒトデ相と稀産種の採集・観察記録
中地シュウ(黒潮生物研) 
 四国沿岸における海産無脊椎動物相調査の一環として、四国西南海域において潜水調査や宝石珊瑚漁の混獲物調査などを行い、棘皮動物(ヒトデ、クモヒトデ、ウニ、ナマコ類)の分布や生態に関する情報と標本の収集を行った。このうちヒトデ類については、これまでの調査で潮間帯から陸棚上部帯域(水深0~120m)において14科38属83種を記録した。
 当該海域のヒトデ相は黒潮の影響を強く受けるこの地域の環境をよく反映しており、南方系種の占める割合が高く、これまで沖縄や奄美以南のサンゴ礁域に分布すると考えられていた種が多数確認された。また、日本沿岸では採集・観察例が少ない稀種、あるいは未記録種も含まれており、国内で最も海産無脊椎動物相に関する調査が進んでいる相模灘のヒトデ相(林 , 1973 ; Sigei , 1991 ; 池田・倉持 , 2005 ; Saba & fujita , 2006)に匹敵する高い種多様性を示すことが明らかとなってきた。 


四国西南地域で新たに見つかったカワアイ(キバウミナ科)およびシオマネキ(スナガニ科)の生息地
中地シュウ(黒潮生物研) 
 四国西南地域における干潟域の生物相を把握するため、2012年7月から9月に愛媛県愛南町から高知県土佐清水市までの範囲において、干潟の踏査調査を行った。
 この調査によって、全国的に希少種とされ、高知・愛媛両県においても限られた場所でのみ生息が確認されているカワアイ(キバウミニナ科)と、シオマネキ(スナガニ科)の新たな生息地を発見した。高知県レッドデータブック(2002)によれば、高知県内におけるカワアイの生息地はこれまで1ヶ所のみしか知られていなかったが、今回の踏査調査で県西部の2ヶ所の干潟で新たに本種の生息を確認した。シオマネキについては愛媛県内で1ヶ所、高知県内で1ヶ所、計2ヵ所で新たに生息を確認した。愛媛県におけるシオマネキの生息地はこれまで御荘湾の神田川河口(愛南町平城)の1ヶ所でのみしか知られていなかった。 


幡多地域の和紙原料である楮について
中嶋久美子(ハレハレ本舗) 
 幡多地域には和紙原料となる「楮(コウゾ)」が自生している。この幡多楮は50年前までは日本一質の良い楮として有名であった。中でも旧佐賀北部地域の若山地区は優秀で今でも80代の紙漉にはその名が通る。どうも縄文時代から自生してた品種に近いのではないか?という感じがしてきてるこの頃。だからどーした?それよりも雇用を生むとか結果出すということに力を注がねばならない。だけど、頭の中では「縄文の植物」とかそういうのがじわじわと来てる。
 はたのおとに参加して、まずは、ほんとにありがとうと思います。日頃地域起こしとか、そういう中になって「食えない食べ物ではない分野」でどうやって人の注目引くかに明け暮れていたので、この「はたのおと」に一つのヒントを得た気がします。それは誰が何と言おうと「好きな事」をやってる人は輝いてる!のであります。できれば、友達になって色々話しを聞きたくなるのであります。聞けるのであれば釣れ立ての魚持ってくよ、美味い酒持ってくよ。そういう雰囲気です。そしてそんな中から未来に後継者が育ってるかもしれない。これが豊かな地域の文化だなあと。ありがとう。幡多は豊か。