[2013 口頭発表 要旨]








谷地森 秀二 YACHIMORI, Shuuji, Ph.D.

四国自然史科学研究センター センター長 博士(農学)
1967年8月宮城県に生まれる。平成13年3月に須崎市に移り住み、四国の生きものの調査研究を開始。平成14年10月から四国自然史科学研究センターの立ち上げに参加し、平成16年6月よりセンター長に就任。

[ 発表要旨 ]

四万十川中流部におけるユビナガコウモリの人工洞利用状況 -すめばみやこ-

 日本に生息する小型コウモリ類のうち、休息や出産を洞窟内で行う種は、天然の洞窟だけではなく、防空壕や野菜をしまっておく岩穴などの人工洞を利用する例が全国で確認され、洞窟性コウモリにとって人工洞も重要な生活場所であることがわかってきた。筆者らは、平成15年4月より高知県におけるコウモリ目の生息状況調査を進めている。調査の過程で、高知県四万十市において、ユビナガコウモリが利用する人工洞を複数確認し、それぞれの場所における利用状況を記録したので報告する。
 調査の結果、調査洞「奈呂」においてユビナガコウモリが出産育児を行っていることが確認されたが、個体数は他地域の報告に比べて非常に少なかった。集団の規模が小さい理由については不明であるが、確認された場所が人工のトンネルであったことが要因の一つかもしれない。調査洞「江川崎」ならびに「用井」では出産育児は確認されず、その時期(6月~8月上旬)の利用個体もほとんど見られなかった。その後、8月末より秋季に利用個体数が増加し、その集団における性比は、雌雄どちらかに大きく偏ることはなかった。
 これらのことから調査洞「江川崎」ならびに「用井」は、交尾を行うためにユビナガコウモリたちが集合している場所であることが示唆された。冬期にはこれら3ヶ所の調査洞におけるユビナガコウモリの利用はほとんど確認されず、越冬場所として利用していると思われる上記三か所とは別の人工洞を発見した。