[ 2014 ポスター発表 要旨]
竜串の生きもの調べました 
田辺陽輔(四万十高校) 
 僕たち自然環境コース2年生は黒潮生物研究所の協力のもと、2013年5月16日竜串にて海岸の生物を調査した。調査地を潮上帯と潮間帯上部・中部・下部の4つの潮位帯に分け、潮位帯ごとに50cm×50cmのコドラートを3つずつ設置し、生物の種類と個体数を記録した。調査で確認できた生物は29種類で、特に巻貝類が多く見られた。潮位帯ごとの種数は、潮上帯4種、潮間帯上部13種、中部18種、下部19種で、潮間帯中部や下部で種類が多かった。貝類はどの潮位帯にも分布していたが、優占種は潮位によって異なっており、潮上帯や潮間帯上部では、貝やフジツボのように乾燥に耐えられる生物が、潮間帯中部・下部ではウニやイソギンチャクのように乾燥に耐えられない生物が分布していた。また外敵から身を守るために硬い殻を持つなど、潮位帯ごとに生物の持っている特徴が違い、そこにどんな生物が生息するかは、周辺の環境やその生物の性質によって異なることがわかった。 


四万十川流域におけるシチョウゲの分布と生態
佐竹杏介・藤澤周平(四万十高校) 
 四万十高校自然環境部は毎年テーマを決めて研究しており、今年度は準絶滅危惧種であるシチョウゲの分布と生態について研究した。調査の結果、四万十川中流下流域の27地点でシチョウゲの生育を確認した。シチョウゲは川岸の他の植物で覆われていない崖のような場所で、水面から限られた高さにしか生育していなかった。シチョウゲの種子は水に浮く構造をしており、シチョウゲの種子は水散布型であることが考えられた。また、シチョウゲは日当たりがよくなければ結実度が低下することから、シチョウゲの生育には増水によるかく乱でできる日当たりのよい川岸が必要であると考えられた。今後シチョウゲの生育環境を維持するためには、ダムなどによる過度の流量調節を控えることが大切だと思う。 


三原村での小水力発電取組みについて 
平井政志(いきいきみはら会) 
 幡多郡三原村、土佐清水市に流れる下ノ加江川水系は、幡多半島の中で、比較的広い流域面積があり、この豊かな水資源を利用し、地産地消の自然エネルギーである小水力発電を行い、得られた収益を森林整備等で、地元に還元し地域の活性化に貢献できないか取り組んでいます。具体的には、三原村の下ノ加江川の芳井堰で、120KW級の小水力発電所の実現に向け取り組んでいます。このクラスの小水力発電の実現化のためには、水利権などクリアしなければならない課題も多いのも現実ですが、「やる気!本気!根気!」で取組んでいます。又、三原村の成山では、谷川の流れを水源とする旧水道施設を利用してターゴ水車を設置し、自己消費用の超小型水力発電の普及に向け、実験を行っています。 


高知県四万十川周辺におけるユビナガコウモリの人工洞利用状況 
谷地森秀二(四国自然史科学研究センター)・谷岡仁(香美市)・ 
美濃厚志(東洋電化テクノリサーチ)・金川弘哉(高知大学大学院) 
 近年、洞窟性コウモリにとって人工洞も重要な生活場所であることがわかってきた。筆者らは、平成15年4月より高知県におけるコウモリ目の生息状況調査を進めている。調査の過程で、高知県四万十川周辺において、ユビナガコウモリが利用する人工洞を複数確認し、それぞれの場所における利用状況を記録したので報告する。
 調査を行った人工洞は昨年度報告した3ヶ所(奈呂、江川崎および用井)に加え、2012年12月に新たに多くのユビナガコウモリの利用が確認された1ヶ所(宮地)の、計4か所である。新たに確認した「宮地」の構造は、高さが約3m、幅約2.5m、長さは約100mで、これまで確認されていた2ヶ所のボックスカルバートよりも大型であった。内壁は平坦なコンクリート製であるが、老朽化が進み、壁面の多くの場所でコンクリートが剥落し、コウモリが捕まりやすい状況となっていた。他の調査地同様に床面全体を常時水が流れていた。調査は、2012年9月1日より2013年8月31日にかけて1ヶ月に一度行った。調査時には、洞の外気温および内気温、確認した種の判別、種ごとの個体数等を記録した。また、4ヶ所すべての調査洞において捕獲を行い、性の判別、成長段階の把握を行い、標識を装着して放逐した。調査の結果、「用井」および「江川崎」の利用状況は、春期と秋期に個体数が増加し、夏期と冬期に減少し、育児や冬眠場所としての利用はみられず、ほほ例年どおりであった。「奈呂」は夏期のみに利用し、2011年および2012年の両年で育児コロニーが確認されていたが、2013年は利用が見られなかった。「宮地」では、2012年12月より2013年8月まで1,000頭を超える集団の利用が確認され、冬眠と育児の両方の活動が確認された。確認された集団の中には、これまで他3ヶ所で標識を装着した個体が多数確認された。 


土佐清水市竜串湾見残しの巨大シコロサンゴの産卵 
目﨑拓真(黒潮生物研究所)
 高知県土佐清水市竜串の見残し湾には県の天然記念物に指定されている巨大なシコロサンゴがある。大きさは長さ50.9m、幅30.6m 、高さ2.7m(2011年9月測定)で、国内最大級のシコロサンゴ群落と言われている。この巨大なシコロサンゴの放卵・放精(以下産卵)を、2010年8月2日、8月31日、2011年8月20日、2012年8月8日にスキューバで計4回の観察を行った。
 観察の結果、2011年と2012年の計2回、巨大なシコロサンゴの産卵を確認した。巨大なシコロサンゴは、主に雌群体で、ほとんどが放卵だった。産卵は4時15分から干潮を過ぎて潮位が少し上がった時に開始し、日の出を過ぎ明るくなった6時頃まで1時間半以上続いた。産卵日は旧暦6〜7月21日の満月から6日後で、潮回りが中潮だった。 


四国西南海域のウニ相について 
中地シュウ(黒潮生物研究所)
 四国沿岸における海産無脊椎動物相調査の一環として、四国西南海域(愛媛県宇和島市から高知県土佐清水市にかけての範囲)における棘皮動物相に関する研究を2001年より継続して行っている。ウニ綱については潮間帯における調査、潜水調査(水深0-40m)、および宝石珊瑚漁の混獲物調査(水深90-150m)などにより、標本を採集するとともに分布や生態に関する情報を収集した。
 これまでの調査によって四国西南海域の潮間帯から陸棚上部帯域(水深0-150m)において記録されたウニ綱は16科35属47種(タマゴウニ目・ブンブク目を除く、また一部の種については目視または写真での記録のみ)である。このうち、宝石珊瑚漁の混獲物調査により水深約90m-150mの範囲から得られたのは8科10属15種である。採集される頻度と個体数がともに高かったのは、オウサマウニ科のトゲザオウニGoniocidaris(Petalocidaris) biserialis 、リュウオウウニAcanthocidaris maculicollis 、ノコギリウニ属の1種 Prionocidaris australis 、タコノマクラ科のヤマタカタコノマクラClypeaster virescens などであり、これらの種は当該水深帯の岩礁域において比較的高い密度で分布していることがうかがえた。また、潜水調査等を行った潮間帯から水深約40mまでの範囲については14科27属33種が出現したが、南方系種が多くを占めており、黒潮の影響を強く受けるこの地域の環境をよく反映していた。この範囲からは国内での採集・観察例が少ないヒオドシウニ属の1種Salmacis sp.(サンショウウニ科)が採集されたほか、近年、沖縄島で国内初記録されたスベトゲガンガゼLissodiadema lorioli 、アスナロガンガゼCentrostephanus asteriscus(ともにガンガゼ科)などと思われる種なども観察された。
 ブンブク類をはじめとした潜砂性の不正形ウニ類についてはまだ十分な分布状況が把握できていないので、今後、砂底域での潜水調査や底引き網漁などの混獲物調査などを実施し、四国西南海域に分布するウニ類の網羅的なリストを作成する予定である。 


四国西南部の浅海産ウミシダ相と柏島周辺から得られた未記載種について 
小渕正美(黒潮生物研究所) 
 四国西南部の足摺宇和海は、接岸する黒潮の影響を強く受けて、温帯であるにも関わらず熱帯系の生物が多数分布し、生物学的に興味深い海域である。私は、昨年よりこの海域におけるウミシダ相の研究を行なっている。ウミシダは、ウニやヒトデと同じ棘皮動物(きょくひどうぶつ)の一員だが、その名の通り、シダ植物のような、あるいは羽を集めたような外観を持った動物である。
 これまでの調査では、足摺宇和海からは7科23種のウミシダ類が確認されている。この中には日本初記録種が少なくとも4種含まれているが、それらは熱帯のサンゴ礁を中心に知られていた種であり、本海域における黒潮の影響を象徴している。また、柏島周辺のやや深場から得られたヒメウミシダ科の一種は、これまでこの海域からしか採集されていない未記載種であり、現在、新種記載にむけて分類的研究を進めている。 


竜串における自然再生 
岩瀬文人(黒潮生物研究所)
 [要旨未提出] 


久栄岸橋が語るもの 
太田可鈴・川村慎也(四万十市教委) 
 四万十川と後川に挟まれた町、中村へはかつて7つの入口があったと伝えられている。 その中で高知方面から中村へ至る重要な入り口が崩岸(くえきし)と呼ばれる場所であった。かつては後川を渡し舟で往来していた崩岸に大正13年にそれまでの木橋に替わって架橋されたのがコンクリート製の久栄岸橋である。当時大きく蛇行していた後川は中村側で決壊し水害が頻発していた。これに対応するため昭和10年〜15年に、後川を直線的に南流させる河道の付け替えが計画された。これによって対岸の佐岡地区では良好な水田が河道となり多くの農地が犠牲となった。河道の変更によって廃河川となった旧河道は、昭和30年代の区画整理で埋め立てられ、久栄岸橋は道路下に埋められることとなる。しかし埋立て時に橋面下を埋めきれず、中が空洞になっていたため、平成26年2月に再度橋面を掘り出して撤去し、空洞部を完全に埋め立てることとなった。これによって久栄岸橋は床版が撤去され橋脚が地中に埋められることとなった。 


身近な川にはいってみると-三崎川にいる魚やエビたち 
山下慎吾ほか(魚山研ほか) 
 高知県土佐清水市を流れる三崎川は,幡多地方南部の最高峰である今ノ山(標高868m)に源を発する急勾配の小河川である。本来の河口は三崎浜にあったが,1920年の大洪水を契機として河道の付け替えがおこなわれ,1944年以降は竜串湾に流入するようになった。
 筆者らは,三崎川を実践的環境学習拠点のひとつとしてとらえ,まず魚類やエビカニ類の種組成を知ることを目的として,川に興味あるメンバーが集まって調査を開始した。2013年7月に試行調査をおこなったのち,9月から2014年1月まで毎月1回,三崎川流域の4地点において,小型定置網を用いた定量調査を実施した。調査の結果,これまでに魚類18種類,エビカニ類11種類が確認され,その生息分布様式や堰堤下流に遡上できない魚類が多数停滞している状態などから生態ネットワークの分断が生じていることがわかってきた。今後,2014年8月まで毎月調査を継続実施したのち,この川の自然再生に向けた活動をおこなう予定である。