[ 2015 口頭発表 要旨 ]

田中 尚人 TANAKA, Naoto, Ph.D.

熊本大学政策創造研究教育センター 准教授 博士(工学)

1971年京都府生まれ。熊本県を中心に、文化的景観保全、歴史・文化を活かした参加型地域づくりの実践・研究に携わる。専門は土木史、景観論、都市地域計画。四万十川には、沈下橋に引き寄せられ学生時代にやってきて以来、様々なご縁に導かれ文化的景観研究の対象地に(勝手に)決定。

[発表要旨]

よそ者は「地域らしさ」に巡り合うのか? 

 本論考では,文化的景観という概念を通して,四万十川流域において「よそ者」が果たしうる可能性について考察した.
 文化的景観は,文化財保護法により「地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地」と定義されている.筆者らは,文化的景観保全とは,地域住民と地元自治体とが協働し「地域らしさ」に気づき,守り後世に伝えることであると考えている.ここで,地域の「らしさ」とは,その地域に本来的に備わっている資質(固有性)と,訪れる人との関係上に成立する資質(関係性)の二つの部分からなるとする.
 四万十川流域では,「よそ者」が地元の小学生が作ったユニークな地図を見ながら歩くことや,地元のおばちゃん達がつくって下さった料理を食べることで,地域の固有性に触れることができる.そして,閉校してしまった小学校の側で地域を知るために欠くべからざる履歴に「偶然」巡り合うことができた.また,よそ者がこのような地域の固有性に触れることが,地元住民の持つ「地域らしさ」との関係性に影響を与えることが分かった.
 筆者は,地域づくりにおいてよそ者が地域らしさに巡り合える「きっかけ」づくりが大切であり,「様々な主体が,変化を恐れずに,無理せず楽しく」取り組むことが大切だと再認識した.