発表者紹介

田中 尚人 TANAKA, Naoto, Ph.D.
熊本大学 政策創造研究教育センター 准教授 博士(工学)

1971年京都府生まれ。文化的景観保全、歴史・文化を活かした参加型地域づくりの実践・研究に携わる。専門は土木史、景観論、都市地域計画。四万十川には、沈下橋に引き寄せられ学生時代にやってきて以来、文化的景観研究のお蔭で様々なご縁を頂いています。

[発表タイトル]

「地域らしさを引き継ぐこと」地方創生における文化的景観保全の意義

文化的景観保全の観点から導かれる「地域らしさを引き継ぐこと」は,地方創生という文脈においても重要である.自然環境,歴史,生活・生業の三要素から,地域固有の景観を成立させてきた「仕組み」を保全していくためには,皆さんが「地域らしさを語ること」が大切である.私は,そのきっかけとなる「食と文化的景観の繋がり」について話すことにしている.これは,四万十川流域で元文化庁の井上典子氏とともに津野町の茶業景観の保全に取り組んだ経験に基づいている.地方創生では,都市から地方への人口移動,新しい働き方が重要だとされ,私は,将来「地域らしさを引き継ぐ」主体となる子どもたちの地域づくりへの参加が大切だと考えている.このような先進事例「隠岐島前高校魅力化プロジェクト」に取り組む島根県隠岐郡海士町の山内町長にたずねたところ「海士町は成功事例ではない,挑戦事例だ.挑戦をやめたら島は沈む」とおっしゃられた.これらの学びから「地域らしさを引き継ぐ」ために,①地域の課題解決を考える,②地域の長所を活かす,③お金が回る仕組みをつくる,そして実践者たちが「楽しく,笑顔で,元気になる」ことが重要なことである,ことが分かった.